2011年7月14日木曜日

やがて上司になるあなたへ(8):下らないことは、合わせろ

どんな組織にも、その組織を特徴付けるしきたり・風土があります。

この「しきたり」は、部外者には、どうしてそんなことをするのか訳が分からないという類のもの、要するに下らないものがすくなくありません。さらにウンザリする事に、それにかなりの時間が掛かることも多々あります。

若い人は、しきたり・風土の下らない部分を改善しようとしたり、下らない事をすることは嫌だと抵抗します。かつての私は、その典型だったように思います。

しかし、この改善と抵抗はまったく無駄なので、あなた自身もすべきでないし、部下にも止めるように諭しましょう。もちろん、頭ごなしに、部下に「しきたりには従え。」と言ったのでは、部下の軽蔑を買うだけで最悪です。

 少し視点を変えて、次のようなケースを考えてみましょう。

あなたの友人が、ペットボトルのキャップを集める趣味を持っていたとしましょう。ですが、あなたは、ペットボトルのキャップにはぜんぜん興味が湧きません。それどころか、下らないと心底思っています。ある時、あなたは出張先で買ったペットボトルを持ち帰ったのですが、どうもそのペットボトルは友人にとってはじめて見るもので、彼/彼女がそれを欲しがったときにどうしますか?


大抵の人は、ああこれは彼/彼女の趣味だからと、ペットボトルを友人に上げるのではないでしょうか?ペットボトルのキャップを集めるのは下らないと自説を述べて、友人の目の前でペットボトルを捨てるようなことはしないと思います。

つまり、自分にとって下らないことには寛容になることは、冷静になれば、私たちにとってそれ程難しいことではないのです。

組織に対しても似たような考え方が有効です。つまり、自分の内面、価値観、人格といったものは、他人の趣味・考え・行動原理に影響されることはないものだということです。

ですので、部下にしきたり・風土に対処することを伝えるときには、次のようなステップを踏むといいでしょう。

まず、部下が独立した人格を持っていることを確認、尊重しましょう。

次に、組織のしきたり・風土が、部下の人格に何の影響力を持っていないことを、部下自身に確認させましょう。そのプロセスの中で、あなたは、抵抗感のかなりの部分は、組織が自分の人格・内面にに影響を与えることへの恐れからきている場合が多いことに気づくと思います。ここまでできれば、あとは簡単です。

部下の人格に何の影響力を持っていないことに、自分の時間とスキルを長々と費やすことは無駄ではないかと指摘しましょう。その上で、「君にとってどうでもいいことであれば、相手に合わせてあげればいいのでないの?」と言えば、多くの部下は理解してくれます。

もちろん、部下の人生観と、組織のしきたり・風土とが、完全に対立する場合もあるでしょう。その場合は、部下に勝算があると思えば応援してもよいですし、ないと思えば転職を勧めるべきです。

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