2013年2月3日日曜日

やがて上司になるあなたへ(14):マネージャのタイプ

管理職、マネージャといっても、いろんなタイプの人がいます。今回は、いくつかの類型を紹介します。

私の大まかな類型は、
・コメンテーター
・チェッカー
・コントローラー
・ライター
・コーディネーター
・ディレクター
の6つです。

コメンテーターは、部下の報告や世の中の動きを評論するだけの人です。人の上に立ったら部下に仕事をさせていればいいと考えており、自分の評論・蘊蓄、多くの場合どこかの本に書いてあるようなことなのですが、をたれていることを指導と勘違いしている上司がこのタイプです。意外と勉強家だったりしますが、勉強の成果がチームの仕事の改善に繋がらないのが特徴です。

チェッカーは、部下に仕事の計画や目標を立てさせて、仕事の進捗がその通りにいっているかどうかをチェックする人です。一見、部下に権限委譲をした上で業務管理をしている上司のように見えますが、実態は部下の言った事を確認・フォローしているだけなので、極端なことを言えば簡単なコンピュータプログラムでできる程度のことをしているだけです。仕事が順調なときには、非常によい上司に見えます。が、仕事が思うように進まないときに解決策を出せる訳でもなく、やたらと対策会議を開きたがるのが、このタイプです。細かい確認がすきなので、事務手続などには精通していたりします。

コントローラーは、チェッカーに近いですが、部下に仕事の目標は立てさせますが、仕事のやり方を自分で決める点が違います。日常の業務管理を積極的にしますので、一見やり手の上司に見えます。が、多くの場合特定の業務手順を墨守させるだけのことが多く、部下にとっては口出しの多い頭の痛い上司であることが多いタイプです。仕事が上手くゆかないときには、部下の仕事のやり方が悪いというのも困った特徴です。

ライターは、仕事の目標だけを立てる人です。上位方針に沿った目標を立てる事だけが自分の仕事で、その実現は部下の仕事と考えています。「戦略」という言葉が好きで、自分は戦略家であり、部下はオペレーションを担当する兵隊と考えています。上司受けするシナリオを語るのが上手い一方、目標達成の可能性の視点が抜け落ちているのが特徴です。自信家で部下を見下しているので、部下の進言を聞くことはまずありません。マネージメント本をよく読んでおり、仕事が行き詰まった際には、その蘊蓄を披露したがります。いい格好をするためにできもしない目標をでっち上げ、後始末をすべて部下に押し付けます。新規業務の立ち上げが大好きで、最初に目立つだけ目立って、ボロが出る前に逃げるのが典型的なやり口です。

コーディネーターは、仕事の目標を達成するために、必要な人・物・金を集め、それをくみ上げる人です。特に、仕事と人の対応付けに心を砕き、必要と有ればチーム外からの助力を得ます。人への気遣いが強いので、目標そのものへの執着が弱くなることがあります。仕事の目標が明確なときには非常に優れた上司となりますが、目標の立案の場合には人の意見に流されることがあります。

ディレクターは、上位方針に沿って仕事の目標と、現実的な達成計画の両方を立てる人です。当事者意識を部下と共有して、仕事を進める優れた上司です。ただ、目標を達成することを重要視するタイプなので、チームの大きさを目標に織り込んでしまい目標が低くなる場合があります。また、未来志向が強いので、日常の業務管理が甘くなる場合もあります。

6つの類型のいずれも完璧なマネージャではありません。私は、優れたマネージャは、
・ディレクター、コーディネーター、チェッカー
の能力をバランスよくもった人であり、困ったマネージャは、
・ライター、コントローラー、コメンテーター
の要素が強い人であると、思っています。このグループの違いは、一言で言うと、「上から目線(=当事者意識の欠如)」が入っているかどうかの違いです。

ちなみに、チェッカーだけの人も困った上司なのですが、人としては「いい人」である場合が多いようです。

ディレクターとして目標と計画を立て、コーディネータとして必要なリソースを集め、チェッカーとして日常の業務を確認してゆくという上司は、ほとんどスーパーマンに違いありません。スーパーマンでない私たちは、自分の得意な所と苦手な所を見極めて、苦手な部分は部下に補って貰えばいいと思います。そして、そのこと自体が部下の育成にもなるはずです。



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