2013年2月10日日曜日

やがて上司になるあなたへ(15):プレゼンテーションについて

報告にしても、提案にしても、今時パワーポイント等を使ったプレゼンテーションをさけることはできません。

できるなら、あまり時間をかけずに作った資料で、プレゼンテーションが成功するに越した事はありません。しかし、長い時間をかけて資料を作っても、聞き手の興味を引かないプレゼンテーションになってしまうことは多いようです。

書籍やネットには、プレゼンテーションの上達のために「能に学ぶ」、「スチーブ・ジョブスに学ぶ」とかをうたい文句にしたノウハウ本が溢れ、「具体的に」という注意書きが書かれていたりします。確かにこれらのノウハウ本に書いてあることは、プレゼンテーションの形を整える上で役に立ちます。

実は、もっと単純で本質的に重要な点があると、私は思っています。それは、プレゼンテーションでは、

◆説明をするな、主張をしろ。

ということです。

プレゼンテーションの目的は、聞き手を自分の思う通りに動かすことです。予算を獲得する、自分の提案に承認を貰う、自分の評価を高くする等等、全て聞き手に変化をもたらすことが目的です。もし、予算がすでに確保されているなら、提案が承認済みなら、自分の評価が満足のゆくものなら、プレゼンテーションは必要ありません。プレゼンテーションは、足らない予算、未承認、低い評価を、あなたがひっくり返すために行うものです。

あなたの伝えたいことは、「これに予算を付けるべきだ。」、「この提案を実行に移すべきだ。」、「自分の評価を上げるべきだ。」というあなたの主張なのです。

これに気付くと、聞き手にとって、「この予算の必要性は、…」などという言葉による説明は言い訳に聞こえることが、分かると思います。話し方が具体的であったとしても、「言い訳」は言い訳に過ぎません。

あなたの主張を相手に飲み込ませるために必要なものは、何か?

それは、証拠です。

揺るぎなく、明白で、客観的な証拠です。説明ではありません。「揺るぎなく、明白で、客観的な証拠」は、「具体的な説明」ではないかという反論があるかもしれませんが、そうした反論には、「上手な説明」はあるが、「上手な証拠」はなく、あるのは「明白な証拠」であると言えば、違いを理解してもらえると思います。

非常に露骨に言えば、プレゼンテーションとは、

(主張)私は、あなたに○○をして欲しい、
(証拠)あなたが○○することの妥当性は、××の証拠から明らかだ、

と、聞き手に伝えることなのです。この本質を押さえ、聞き手に失礼にならない程度の表現ができていれば、少々武骨なでプレゼンテーションであっても、あなたの正当性は聞き手に認めてもらえるでしょう。自分の主張さえはっきりしていれば、資料を作るには、それほど時間は必要ありません。

もっとも、プレゼンテーションの準備に時間が掛かる理由の多くは、自分の主張がはっきりしていないことです。それ故、いくら守離破などのような定型のノウハウを取り入れても、一向に聞き手に響くものにならない場合が多いのです。

繰り返します。プレゼンテーションで何より大切なことは、あなたの主張なのです。


2013年2月3日日曜日

やがて上司になるあなたへ(14):マネージャのタイプ

管理職、マネージャといっても、いろんなタイプの人がいます。今回は、いくつかの類型を紹介します。

私の大まかな類型は、
・コメンテーター
・チェッカー
・コントローラー
・ライター
・コーディネーター
・ディレクター
の6つです。

コメンテーターは、部下の報告や世の中の動きを評論するだけの人です。人の上に立ったら部下に仕事をさせていればいいと考えており、自分の評論・蘊蓄、多くの場合どこかの本に書いてあるようなことなのですが、をたれていることを指導と勘違いしている上司がこのタイプです。意外と勉強家だったりしますが、勉強の成果がチームの仕事の改善に繋がらないのが特徴です。

チェッカーは、部下に仕事の計画や目標を立てさせて、仕事の進捗がその通りにいっているかどうかをチェックする人です。一見、部下に権限委譲をした上で業務管理をしている上司のように見えますが、実態は部下の言った事を確認・フォローしているだけなので、極端なことを言えば簡単なコンピュータプログラムでできる程度のことをしているだけです。仕事が順調なときには、非常によい上司に見えます。が、仕事が思うように進まないときに解決策を出せる訳でもなく、やたらと対策会議を開きたがるのが、このタイプです。細かい確認がすきなので、事務手続などには精通していたりします。

コントローラーは、チェッカーに近いですが、部下に仕事の目標は立てさせますが、仕事のやり方を自分で決める点が違います。日常の業務管理を積極的にしますので、一見やり手の上司に見えます。が、多くの場合特定の業務手順を墨守させるだけのことが多く、部下にとっては口出しの多い頭の痛い上司であることが多いタイプです。仕事が上手くゆかないときには、部下の仕事のやり方が悪いというのも困った特徴です。

ライターは、仕事の目標だけを立てる人です。上位方針に沿った目標を立てる事だけが自分の仕事で、その実現は部下の仕事と考えています。「戦略」という言葉が好きで、自分は戦略家であり、部下はオペレーションを担当する兵隊と考えています。上司受けするシナリオを語るのが上手い一方、目標達成の可能性の視点が抜け落ちているのが特徴です。自信家で部下を見下しているので、部下の進言を聞くことはまずありません。マネージメント本をよく読んでおり、仕事が行き詰まった際には、その蘊蓄を披露したがります。いい格好をするためにできもしない目標をでっち上げ、後始末をすべて部下に押し付けます。新規業務の立ち上げが大好きで、最初に目立つだけ目立って、ボロが出る前に逃げるのが典型的なやり口です。

コーディネーターは、仕事の目標を達成するために、必要な人・物・金を集め、それをくみ上げる人です。特に、仕事と人の対応付けに心を砕き、必要と有ればチーム外からの助力を得ます。人への気遣いが強いので、目標そのものへの執着が弱くなることがあります。仕事の目標が明確なときには非常に優れた上司となりますが、目標の立案の場合には人の意見に流されることがあります。

ディレクターは、上位方針に沿って仕事の目標と、現実的な達成計画の両方を立てる人です。当事者意識を部下と共有して、仕事を進める優れた上司です。ただ、目標を達成することを重要視するタイプなので、チームの大きさを目標に織り込んでしまい目標が低くなる場合があります。また、未来志向が強いので、日常の業務管理が甘くなる場合もあります。

6つの類型のいずれも完璧なマネージャではありません。私は、優れたマネージャは、
・ディレクター、コーディネーター、チェッカー
の能力をバランスよくもった人であり、困ったマネージャは、
・ライター、コントローラー、コメンテーター
の要素が強い人であると、思っています。このグループの違いは、一言で言うと、「上から目線(=当事者意識の欠如)」が入っているかどうかの違いです。

ちなみに、チェッカーだけの人も困った上司なのですが、人としては「いい人」である場合が多いようです。

ディレクターとして目標と計画を立て、コーディネータとして必要なリソースを集め、チェッカーとして日常の業務を確認してゆくという上司は、ほとんどスーパーマンに違いありません。スーパーマンでない私たちは、自分の得意な所と苦手な所を見極めて、苦手な部分は部下に補って貰えばいいと思います。そして、そのこと自体が部下の育成にもなるはずです。



2013年2月2日土曜日

命の値段

「命の値段」を考えるきっかけになったのは、アフリカの医療支援をする際には薬を患者に渡してはいけないという話を読んだことです。患者に薬を渡せば、患者は薬を現金化してしまうというのです。現金給付でなく、医療支援を目的するのであれば、医師患者双方にとって面倒であっても、対面で薬を投与することが大切というのです。

報道で知る限り、アフリカは日本よりずっと死が身近な土地です。

その地において、命に直結するだろう治療薬が自分の病気の治療より現金化に使われることは、「命をお金に換える行為」と解釈できるのではないかと思ったのです。

一般的な治療に使われる薬の市場価格は、数千円です(日本国内では医療保険のために1/3から1/10の支払で済みます)。

一方、国連の調査によれば、サハラ以南のアフリカ諸国では、一日当りの生活費が一ドル以下の人口の割合が50%近い。多くの人の年収が3万円以下なのです。

最初に書いたことは、「薬に年収の1/10の値段がつくなら、人は自分の病気の治療よりお金を優先する」ケースが少なからずあるということです。

国税庁の調査によれば日本の世帯年収は、平均が約420万円であるので、上の論理をそのまま日本に適用すると、「薬に40万円の値段がつくなら、日本人は自分の病気の治療よりお金を優先する」となります。すべての日本人が薬を売るとは思わないですが、乱暴な推定なので係数5を掛ける、つまり5倍の値段(200万円)がつけば、どうでしょうか?自分のためではなく、家族のために「命をお金に換える行為」を選ぶ人がいることを想像することはできるような気がします。

命と命は交換できません。

死と生も交換できません。

それなのに、「命をお金に換える行為」が実際に行われている土地がある。その地では、方法を間違えると医療支援さえ、お金のバラマキになりかねない。そういう現実を「あり得ること」として理解するために、「命の値段」という非人道的なことを考えることも大切ではないかと、私は思います。

2013年1月27日日曜日

ヒースロー空港でMicroSIMを買う

バルセロナでその便利さに目覚めてから、iPadのマップのファンである(もちろん??、私のiPadはiOS5のままである)。道に不案内な初めての土地であっても、バスなどの公共交通機関を迷うことなく使えるところが素晴らしい。

しかし、まだ外国でMicroSIMを使ったことがない。バルセロナでは、ホテルや会議場の無線LANで必要な情報を調べて街に持ち出すという使い方をしていた。

今回、ヒースロー空港で、ボーダフォンのMicroSIMの自動販売機(!)を見つけたので、SIM交換にトライしてみた。

買ったのは、iPad用と書いてある250M/30daysの£10のもの。

設定が面倒かもと思ったけど、何の事はない、クリップをSIMトレイの穴に差し込んで、ホルダーを引き出して、SIMを差し替えて、モバイル通信をONにしたらそれだけで繋がった。

速度は遅いという人も多いだろうが、自分としては十分満足できる。実際、マップを使えば、ロンドンの街中を歩く上で、道に迷うことは全くない。

滞在時間の短い今回では250Mは使いきれないが、簡単に使えるということが分かったことは収穫。

サボってばかり・・・

書きたい項目は、「やがて上司に・・」だけでも20以上あるのに、ページが増えません。日記と同じで、真面目に考えすぎるとよくないのかもしれません。

これからは、軽い話題を取り混ぜて、2週間に一度位の更新を目指してゆきたいと思います。

で、ちょっと腕時計の話を。

今使っている腕時計は、15年程前にカナリア諸島で買ったSEIKO 5です。当時は、日本時間と現地時間を同時に把握できるというので、ロレックスのGMTに似たブランド不明のクォーツ時計を使っていたのですが、主張先のカナリア諸島でそれが壊れてしまいました。緊急避難として、現地で最も安い時計として、7,000円位で買ったものです。帰国後、別の24時間針のついた時計を買ってそれを使っていたのですが、それも壊れてしまい、しかたなくSEIKO 5を取り出しました。

本格的に使い始めてみると、これがいい。軽いし、正確、自動巻だから電池の心配もない。 精度は、多分個体差があると思うけど、感覚的には、私のものの場合一週間で一分も狂わない。とにかく軽いのが素晴らしい。

以前欲しかったウン十万円の腕時計への興味がだんだんなりつつあるこの頃です。買わなくてよかった(笑)。

まあ、私は当分腕時計を買い替えることはないだろうからいいのですが、このようないい時計、国内販売を再開してもいいのではと思うのですが・・・。


2011年9月16日金曜日

やがて上司になるあなたへ(13): 役割分担とチームワーク

役割分担とチームワーク、チーム内のメンバーにそれぞれ得意な分野を受け持って貰えれば、仕事が上手くゆくと、一見相性のよい概念のように見えますが、この2つは実は非常に相性の悪い ものです。

上司のあなたが部下に安易に役割を割り振ろうとすれば、多くの場合あなたが期待するほどのチームワークは得られないでしょう。

チームにおける役割分担には、二つのタイプがあります。第一は、サイズの大きな仕事を、上司が、小さな仕事に分割して、それぞれの小さな仕事をメンバーに割り振るタイプです。第二は、チームでサイズの大きな仕事を進めるときに、成功するためにチーム内で自然発生的にメンバーの役割が生まれるタイプです。

会社全体などの様に大規模な組織(=チーム)の場合、第一のタイプによる役割分担が現実的です。総務部、企画部、営業部、開発部などのような組織構成がこれに当たります。

一方、チームという言葉から連想する規模、数人から20名程の規模では、第二の自然発生的な役割分担の方が上手くゆきます。しかし、現実には、多くの上司が、第一のタイプの役割分担を好み、チームワークの醸成に失敗することがよくあります。

そもそもこのブログは、「やがて上司になる」若い方々に向けた物なので、ここでは、話を 「数人から20名程の規模」のチームワークに限りましょう。以下、チームと言えば、数人から20名程の規模」の集団と指します。

さて、何故、上司主導の第一のタイプが好まれる一方、チームワークの醸成に失敗するのでしょうか?冷静に考えれば簡単です。

チームレベルでの「サイズの大きな仕事」をより小さな仕事に分割することが、実は非常に難しいからです。
全社レベルでの「サイズの大きな仕事」は、総務、企画、営業、開発といったようによいノウハウがありますし、この分割は何年何十年という長期にわたって価値を持ちます。
しかし、チームレベルでは、「サイズの大きな仕事」といっても長くて数年、チームマネージメントの視点で言えば数ヶ月程度の仕事ですし、仕事の多様性が非常に高くなります。要するに、内容がどんどん変わりながら、次々と仕事がやってくる状況で、常に正確により小さな仕事に分割することが、簡単な訳がありません。ましてや、それらの仕事の内容と、上司であるあなたの得意分野が一致していないときに、困難な仕事になるのは明らかでしょう。
仮に、小さな仕事への分割が成功したとしても、小さな仕事と部下のスキルとマッチングを取らなければなりません。 部下は機械ではありませんから、マッチングを考える時に、部下の好みも可能な範囲で取り込む必要があります。ここにも、根深い問題が隠れています。あなたが、部下のスキルと好みについて、正確な知識を持っている可能性は決して高くないということです。特に、専門性の高い分野においては、部下のスキルについては、ざっくりと優秀か否かは分かっても、その正確な把握は不可能です。つまり、マッチングを上司が行うことも、また難しいのです。
さらに、 「サイズの大きな仕事をより小さな仕事に分割」する仕事は、すべての仕事の最初にしなければなりません。前捌きと言われるもので、ここが遅れればそれだけ、納期までの時間を削ることになります。難しい仕事なのに、時間を掛けられないのです。
このように、チームレベルでの仕事の分割は非常に難しいのです。

上司による仕事の分割は、チームワークにはあまり役に立ちません。仕事の分割は上司の手でなされているので、メンバーは個別に仕事をすることができます。ですので、納期を守ること以外、チーム(正確には上司であるあなた)に対する責任を感じる必要はありません。上司が自分の仕事を切り分けているのだから、他のメンバーの仕事に興味を持つ必要性もありません。これでは、他のメンバーの納期遅れがあってチームの仕事に遅れが出た時に、そのメンバーを非難する風土はできても、チームワークは醸成されることはありません。

ポリティカルな側面として、上司主導の第一のタイプの役割分担においては、チームレベルでの仕事の分割は、部下の仕事を決めることなので、上司の権力の発露の場以外の何物でもありません。あなたが常に適切な役割分担を生み出すことができれば、当初部下から大変尊敬され、やがてそれが当たり前のことになってゆくでしょう(割が合いませんが、そんなものです)。
しかし、あなたが時折であっても、不適切な役割分担をしてしまえば、当然仕事はスムーズに行かないですし、それは次々やってくる仕事への時間を圧迫することになりますから、あなたは部下から「仕事が分かっていないバカな上司」というレッテルを貼られるでしょう。


まとめると、上司主導の第一のタイプの役割分担を目指すということは、よほどの幸運がない限り、現場のことを知らないで、権力ばかり振りかざして、アホな業務付与を続ける迷惑な上司への道を選択することになるのです。いつも自分が有能なつもりで、仕事が上手くゆかない場合には自分のことを棚に上げて部下を無能呼ばわりするこの手の上司、けっこういますよね(笑)。

逆に、仕事の分解とマッチングが難しいからと、考え無しに第二のタイプのチーム内で自然発生的役割分担を目指すと、なんでもかんでも部下に仕事を丸投げする仕事をしない無能な上司になってしまいます。

第二のタイプを目指す時の上司の仕事とは、チーム内に役割分担が自然発生するための職場の風土を作り出し、それを維持することです。前に書きましたが、どんなに上手く回っているチームであっても、その内部には利害関係があります。そして、新しい仕事の役割分担を決める場は、メンバー間の利害の衝突の場となるという一面を持ちます。ですから、チームに仕事を丸投げするだけでは役割分担が自然発生することはなく、上司がチーム内の利害関係を解消することで、初めてその環境が整うのです。以下、具体的に話しましょう。

まず、第一は、チームレベルの仕事の目標の達成責任は、チームが負うことを明確にすることです。
こう書くと、「仕事の責任があいまいになり、部下がサボるようになる。」という反論がよくあります。現実には、サボる部下はいつでもサボりますし、責任感の薄い部下が上司の指示だけで責任感が向上することはありません。むしろ、「サボる/責任感のない部下に目標の達成に必須な仕事を割り振れば、それは目標達成のボトルネックになる。」というリスクを考えるべきなのです。上司の仕事は、仕事の目標を達成することが目的であり、部下がサボらないようにすることは目標達成のための手段にすぎないのです。

次の問題は、「チームが目標達成の責任を負う」ことを、どうやってチーム内に徹底するかです 。仕事の場合、目標が多くの場合、チーム外(あなたの上司)から与えられるので、チーム内で目標を合意するという状況にはなりません。あなたのチームができるのは、どう目標を達成するかを決めることです。「どう目標を達成するか」には、仕事をどう分割するか(分解)、分割した仕事をどういう段取進めるか(段取:分解された仕事の時間的な繋がり)、それぞれの仕事をどういう手段で行うか(手段)・・・、というように、詳細化できます。この詳細化を、「チームが目標達成の責任を負う」というチームの意識を作り出すことに使うことが大切です。

そのために、まず、上司であるあなたは、仕事の分解、段取、方法の私的な計画案を、仕事を受け取るとすぐに、ひとりで可能な限り詳しく作成しましょう。これに時間をかけることは、納期を守ることが難しくなるので、駄目です。次に、私案から、部下に提示するための上司の計画案、それはあなたの私案の分解の粒度粗くし、段取に曖昧さを入れた計画案ですが、を作ります。

上司案ができたら、チーム全員を集めて、新しい仕事について説明をしましょう。そして、
 「どう目標を達成するか」について、あなたの上司の計画案を、叩き台として部下に説明しましょう。その上で、チーム全体で、仕事の分解、段取、方法について、計画を立てるのです。このチームミーティングの中で、あなたは部下がそれぞれの専門性を活かして、あなたの私的な計画案より、ずっとシャープな切り口で仕事を分解し、適切な段取りと、手段を見つけて行くことを見るはずです。あなたの私案は、ミーティングが進まないときに、私案そのものではなく、私案を立てた時のあなたの考え方を、部下にヒントとして提示するためにだけ使います。あなたは、上司案を示した後は、議論が、仕事の目標からはなれあいように、細かくなりすぎないように、といった点に気を配りながら、司会に徹するのです。

司会をするあなたの大切な役割が、議論の細かさの制御です。基本的には、手段をどうするかということになると、あまりに細かすぎると判断できます。目標を達成するための手段は、たいてい複数あるので、この段階での議論には、達成可能な手段があることが分かれば十分です。議論は、仕事をどう分けるか、どういう段取りで進めるかに集中し、手段の議論は、そもそも可能なのかを含めて、分解された仕事の困難さを見積もるレベルに留めます。もう一つ、仕事の分解についても、部下の間で意見の対立が出るというのが、判断の基準になります。その場合、その時点では、チームとして仕事に対する知識が不足しているということに他なりません。無駄な議論はやめて、仕事が進んでから、再度検討すべきです。

また、分解と段取の議論が収束する前に、誰が何を担当するかという話を出さない/止めることも、あなたの重要な役割です。

一方、部下は、どういう手段で分解された仕事をするかをずっと考えながら、議論に参加しています。自分のスキル、同僚のスキルとを測り、多分ここは自分が担当することになるのだろう、あそこはあいつだなとか、マッチングも同時に考えています。

あなたが、誰がどの仕事について、どんな発言をどの程度しているか等、注意深くチームの議論を見ていれば、それだけで分解された仕事の7、8割については、適切な割振がどうなるか分かります。残りの2、3割の仕事は、誰も担当したくないであることも、分かるはずです。

ここまで来れば、あなたが、「誰がどれを担当する?」と問いかければ、7、8割の仕事については部下自身が自分がこれを担当すると言い始めるでしょうから、あなたの仕事は、誰も担当したくない2、3割の仕事の担当を指名することとに集約するはずです。

そして、その頃には、「チームが目標達成の責任を負う」ことが、ごく自然にチーム内に徹底されているはずです。

まとめましょう。

大きな仕事を成し遂げるには、どうしても複数の人に仕事を割り振る役割分担が必要です。しかし、その仕事に携わっている人達がチームになっている必要はありません。管理者が仕事をその開始の時点で適切に仕事を分割(仕事の分割)し、人に指示できる程仕事の内容を明確に定義(仕事の記述)でき、適切に割り振ること(仕事のマッチング)ができるのであれば、チームもチームマネージメントは不要です。いえ、チームどころか、部下すらも不要で、すべてを外部に発注することもできるはずです。

しかし、現実には、役割分担(仕事の分割・記述・マッチング)には不完全さが伴います。不完全な役割分担を、大きな仕事を成し遂げるために、走りながら修正するのがチームワークなのです。

役割分担が、チームを生み出すことはありません。一方、優れたチームは、適切な役割分担を常に生み出すのです。



2011年7月29日金曜日

やがて上司になるあなたへ(12): 分からないことを決めるのかが上司の仕事

このシリーズの最初に、「上司の仕事は、部下に、価値のある仕事を、与え続けること」と言いました。これは、長期的な視点から言ったことで、短期的な視点から言ったのが、今回の表題です。


非常に簡単な例が、「新規の100万円案件と、類型のある1000万円案件ではどちらの検討に時間を掛けるか?/どちらを先に検討するか」という前々回の話題です。新規と類型、100万円と1000万円と、二つある基準が背反しているので、万人が納得する答えはありません。


こうした背反がある時に、どうするかさっさと決めてしまうのが、上司の重要な仕事です。


まあ、この事例は会議の時間と順番なので、不謹慎を承知で言えば、コイントスで決めてもよいでしょう。

では、経営の安定を狙って短期的に固く利益を狙うか、経営の拡大を狙って長期的にリスクを織り込んで大きな利益を狙うかになるとどうでしょう?部下全員の前で、「コイントスで決める」と宣言することは、どう考えても愚かな行いです。

上司であるあなたは、部下から見て納得ができる選択/決定をしなければなりません。人を納得させる決定は、その場の思いつきでできるものではありません。組織としての物の考えから、その年の組織の方針、上司であるあなたのポリシーなど、比較的長期間変化しない上位の「考え」によって決めるのが妥当です。

(続く)