「分をわきまえる」という言葉があります。私は、含蓄のある言葉だと思っています。
無人島で独ぼっちで生きているのでもない限り、人は人と関わりを持たなくてはなりません。そして、自分が関わっている社会(会社、近所付き合い、学生時代の仲間等々)の中で、私たちは自分一人で社会のなすべきことの全てのことをするはできません。自分にできる範囲、自分にまかされる範囲、表現はいろいろあるでしょうが、私達一人一人が担う社会の一部分が、「分」であると思います。
このように「分」を肯定的に捉えた上で、上司の分と部下の分とについて述べたいと思います。
私は、上司の分と部下の分には重なりがある/なければならいと思っています。
上司の職務権限が好きな人はとんでもないと思うでしょうが、部下の力をできるだけ引き出すには、 上司の分と部下の分を切り分けるより、そこに適切な重なりを持たせる方がずっと有効です。
以下、もう少し詳しく述べます。
基本的に上司は、チームの仕事の成果に責任を持たなければなりません。この意味で、仕事のゴール/最終成果物を決めるのは、上司の仕事です。
そして、多くの仕事において、最終成果物を得るための方法もしくは部品の組み合わせは、ただ一つではなく複数あります。そして、組み合わせによって、最終成果物の品質や納期が異なります。
ここで、以前書きましたが、上司のあなたと部下の専門能力を比較した場合、部下の方が専門能力が高い場合が多いことを思い出して下さい。
では、最終成果物をどうやって得るか、何を組み合わせて得るかを決めるのは、誰が適任でしょうか?
(以下、続く)