2011年2月13日日曜日

戦争について(1)

日本人の戦争観と、多くの国々の戦争観の間には、大きな違いがあります。

日本人にとって、戦後生まれであれば戦争は身近なものではありません。太平洋戦争を体験した人たちには戦争の記憶がありますが、一方の当事者としてのそれに限られています。

それゆえ、自分達の国の中で、他の強国同士が戦う戦争(殺し合いといった方がいいかもしれませんが)と、それに否応なしに自分達が巻き込まれ、仲間が殺されてゆく戦争に、私たちは思いを致すことはないのではないでしょうか。私もそういった視点を長じるまで持つことができませんでした。

ところが、アジア、欧州、アフリカの多くの国は、自国内で他国同士が争う戦争経験を何度も味わっています。こうした戦争経験に思いを致せば、自国を強国にしたい、少しでも自国が戦場になる可能性を下げるために軍事力を持ちたいという願いも理解できます。

一方、日本の場合、大陸の端であってかつ島国という地政的性質から考えて、このタイプの戦争に巻き込まれることはまずないので、軍事力の必要性を冷静にかつ考えることはとても困難です。そのためか、日本における軍事力の議論は、必要・不要いずれの論も極端なものが多く、戦争を避けるための現実的なものになっていないのではないでしょうか。

どうすれば、戦争を防ぐことができるか、自国が何らかの形で戦争にかかわることを防げるか、他の国々の歴史を学び多角的な視点をもって考えることが必要です。